世間の流れはまったく自由業には関係ない。
学生時代を終えてから、夏休みとかまったく取れたためしがない。ええもう何十年も夏休みなんてありませぬ。
つことで、粛々と仕事。
オリンピックもシン・ゴジラも観れないよーっ
唯一、犬の散歩ついでにするポケモンGOだけが楽しみって……。
しかも、もう佃煮にするほど取れたドードーに囲まれているし。
我が家のゴジラでも見て、映画に思いを馳せる。
そして、夏は逝く……。
7月17日に行って来た。
私の漫画家になるきっかけをくださった、偉大なる萩尾先生の講演会にぜひ行きたかった。
いろいろ生のお話を聞けて、とても刺激的だった。
以下は、お話のメモをざっと。
聞きながらなので、全部は無理だったかもしれないが、こんな感じだった。
萩尾望都先生への10の質問から
○「銀の三角」のイメージは、昔、武蔵音大に古い楽器を見に行き、古楽器のパンフを眺め、美しいなあ、こういう楽器を奏でる古代民族の話をかきたいな、とイメージが膨らんだ。
○「トーマの心臓」当時は資料がほとんどなく、想像やでっち上げも多い。
トーマが冒頭高架から飛び降りるシーンの高架や線路も、想像で描いた。
ドイツや作家のヘルマンヘッセが好きで、美しいもの引かれる心がヘッセとリンクした。
植物分布図を眺めるのが好きで、ドイツの花の咲く木の分布など調べた。漫画の中の植物は、ちゃんとリアルに調べ描く。「マルゴ」の当時は、今のような派手な薔薇はなく、当時の絵画などを参考に描いている。
蝶を出すシーンで、アゲハチョウを描いたら、読者からヨーロッパにはアゲハはいないと指摘され、失敗だった。
トーマの遺書の中のせりふ、「ぼくは彼の中に生きる」のせりふを、コミックで「彼の目の上に」に変えたのは、もともとは目の上にだったが、読者にわかりづらいかな、と変えた。しかし、彼の中に生きるというのはあまりにおこがましく、想い出として目の上に生きる、がやはりふさわしいと思い、戻した。
あと、今後もトーマに関する作品は描く予定はない。
○昔は漫画のアイディアノートブックに、いつも100くらいの書きたいことがメモってあった。以前美内すずえ先生にその話をしたら、彼女は常時500くらい描きたいもののアイディアがあると聞いて、驚いた。
描きたいものは、編集からページ数と締め切りをもらうと、ちょうど当てはまりそうなテーマを決める。
○「ポーの一族」なぜ続編を描こうと思ったか? 読者の熱望もさることながら
、知人の夢枕獏さんがあうたびに、続編描かないの?と、催促してきたので。
「春の夢」は、第二次世界大戦前後のエドガーたちの話が描きたかったから。
キリアンのその後は、自分でもわからないそう。
おかげさまでフラワーズは初版3万5千部完売、5万部に増刷。当初、編集さんは10万部刷ろうと言ったが、営業にありえないだろうと言われ、諦めたが、今思うと詰めが甘かったと後悔しているそう。
○「春の夢」に薔薇が出てこないのは、冬で咲いてないから。フラワーズの表紙の青い薔薇は、あり得ないこと、不可能なことの象徴の花なので、想像で描いた。
「エディス」のラスト、エドガーはどうなったかは、萩尾先生はきっとまだどこかを彷徨っているのではないか、と。
○萩尾先生の死生観。
中学生の頃から死を意識し、生きているうちにやりたいことをしよう、描きたいものを描こうと駈け足気味だった。
だが、ソビエトで観光バスの交通事故で生死を彷徨って以来、あ、ほんとに死ぬんだな、と実感したら、逆に、ま、どうでもいいか、とゆるくなった。
老人は75歳まで一人暮らしできるが、それ以降は身体ではなく脳が衰える。できればピンコロリンで、死にたい。(直前までピンピンしてて、コロリと死ぬ)
○「ユニコーンの夢」にはスクリーントーンがまったく使われていないが?
引っ越したばかりで手元にトーンがなかったので、手描きになった。
先生のお気に入りのキャラは、ベスト3というわけでもないが、オスカー、フロル、エドガーが好き、あとレオくんも。
○漫画でなければできないもの。
キャラクターと心情だと思う。
望み通りの、それ以上の表情を描けたときの悦び。
○行ってみたいところ。
今は16世紀のフランスのことで頭がいっぱいだが、ガラパゴスにはもう一度行ってみたい。荒々しい風景がいい。あと、ケニアもいい。
○フロルが大好き。ああいう元気でハチャメチャな子がいい。アウェイでヒロインをフロルっぽくしたが、彼女ほどはっちゃけなかったのは日本人のせいか。
あと、NHKの「漫勉」収録のこぼれ話なども面白かった。
1日収録が結局4日に延び、スタッフさんが11人で、1日中呑まず食わずで収録にあたっていて、驚いた、とのこと。
もうひとつ、先生は昔はカラーを、そこらのスケッチブックをびりびり破り取って水彩で描いている。
弘法筆を選ばず、ではないが、ほんとうに描ける人は、道具を選ばないのだなぁと、感動した。
仕事でずっと引き蘢りなので、とても刺激的な時間だった。
「人妻 乱れ堕ちて……」 (二見文庫)
Amazonでも予約始まってます。
平凡な人妻が、ひょんなことから大金を得て、男に堕ちていくお話です。
お金は怖い……。よろしくお願いします。
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二見書房より、 05/25 二見文庫(官能シリーズ)「人妻転落 (仮)」
が、出ます。
(仮)が笑える。
官能小説のタイトルは、編集さんがつけることが多いので、本人も本が出るまでタイトルがわからない時もあります。
まあ、内容は仮題のとおりで、慎ましく内気な人妻が、とあることをきっかけに淫らに転落していくお話です。エロいっす!
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